導入前に知っておきたい公募と費用負担の考え方

昨今、導入する企業が増えているeラーニングツールの「公募」による導入。

公募で導入する時の制度設計において検討すべき点は様々ありますが、今回のコラムでは「公募導入における費用負担」について考えてみたいと思います。

費用負担の考え方には明確なルールはありませんが、費用負担について考える際に役立つ2つの視点をご紹介します。

1. 公募の位置づけは「研修」と「自己啓発」どちらに近いか?

まず考えていただきたいのが、貴社の公募の位置づけです。

社員の自主性・自律性を重視する公募であっても、その位置づけはそれぞれ異なります。

例えば、新任管理職層に対してGLOBIS学び放題を公募導入し、リーダーシップについてのコースを自ら学んで欲しいと考えているとします。

リーダーシップの知識は管理職にとって必須・この公募で必ず学んでほしい、と思う場合、この公募の位置づけは「研修」に近いと思われます。

学ぶかどうかを社員が選べる公募ではありますが、応募すること・学ぶことを会社として強く期待しているため、一般的な集合研修と同様に全額会社負担、もしくは会社負担割合を多くして募集をかけることが望ましいと言えます。

一方で「自己啓発」に近い位置づけとは、公募を社員の成長のためのプラスアルファの機会として捉えているケースです。この公募以外に別の研修機会を設けていたり、会社としてリーダーシップの知識が現状の組織戦略上必須とは考えていない場合などが当てはまります。

学ぶか学ばないか・どのように学ぶかなどの選択を社員の自主性に任せた上で、社員が自らこの公募を選んで応募する場合は、「自己啓発」として自己負担の割合を多く課すことも検討できるでしょう。

このように、同じ自発的・自律的に学ぶことを目的とした公募であっても、その位置づけによって費用負担の考え方は大きく変わります。

まずは、貴社の検討している公募が「研修」に近いか、「自己啓発」に近いかを考えてみましょう。

2. 応募してほしい社員にとって納得感があるか?

では、自己啓発の要素が強い導入であれば、全ての公募で自己負担を課すことができるでしょうか。

また、自己負担を課すとしても、どのくらいの費用負担をどのように求めるのがよいのでしょうか。

ここで考えるべきは「応募してほしい社員が納得できるかどうか」です。

自主性・自律性を重んじる公募だからこそ、公募の成功には社員が納得できる自己負担額であることが重要です。

そのためには、まずeラーニングツールの公募導入のゴールを達成するために「応募してほしい社員」と「必要な応募数」を具体的に考えてみましょう。

例えば応募してほしい社員が、既に学習意欲が高い・学習の必要性を感じているのであれば、例え全額自己負担だとしてもある程度の応募は集まりそうです。

逆に、学習意欲が高くない・必要性を感じていない社員が多い場合は、自己負担があることによって応募に至らない可能性もあります。

また、高い自己負担によって学習意欲が高い社員の選別につながったり、最終的な学習状況に応じて負担額を変えることで開講後の学習を促すことができたりもします。

自己負担を検討する際には、公募導入のゴールを達成するために「応募してほしい社員」や「必要な応募数」を明確にし、その上で社員が納得できる負担額や負担方法を検討してみましょう。

(参考:導入成功の5STEPのうちSTEP1「まずゴールを決めましょう」STEP2「次に運用方法を決めましょう」

 

費用負担の考え方の例

 

 

3. 大手金融業界A社様の公募制度設計の事例

A社様は「自律学習推進」の目的で全社員向け公募を検討、できるだけ多くの社員に応募してもらうことで、自律学習文化の醸成を期待されていました。

元々A社様は「全額自己負担」での公募実施を予定されていましたが、以下のような状況を踏まえ、多くの応募を集めるために自己負担割合の引き下げを提案しました。

 ・応募してほしい社員:全社員
 ・期待する応募数  :全社員の半数
 ・過去の公募実績  :無し、現時点で自律学習の文化は醸成されていない

最終的に自己負担額は50%に引き下げられ、複数回に分けて募集することで予算を調整頂きました。

その結果、当初の想定以上の応募につなげることができました。

A社様のように、応募してほしい社員の状況に応じた自己負担額の調整を行い、社員が納得できる公募制度を設計することによって、公募の導入目的やゴールの達成につなげることができます。

 

 

公募の導入においては他にも検討すべきポイントはありますが、費用負担を検討する際には、公募の導入目的やゴールに基づいた「公募の位置づけ」と「納得感のある費用負担のあり方」を是非ご検討ください。

 

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