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自律的に学ぶプラットフォームとして全社に導入
従業員の学習行動データを分析し、効果的に学習を促進

人材・組織開発部 部長 關 俊也 さん(写真中)
人材・組織開発部 組織開発課 主査 越田 智彦 さん(写真右)
人材・組織開発部 人材教育課 課長 山野 祐介 さん(写真左)
1884年の創業以来、幅広い事業領域において社会インフラを支えてきた古河電気工業株式会社。既存のビジネスを発展させつつ、2030年に向けた事業成長と新事業創出を実現するために、自律的成長を支援する学びの機会として全間接スタッフに対して『GLOBIS 学び放題』を導入いただきました。部長層へのヒアリングを経て明確化した人材育成におけるニーズや、『GLOBIS 学び放題』を選んだ理由、学習データを活用した受講促進施策などについて、人材・組織開発部の關さん、越田さん、山野さんにお話を伺いました。
(※部署、役職は取材当時のものです)
課題

・従来の研修は、コンテンツ・タイミング・対象者が限定的だった
・事業ごとに特化した専門スキルだけでなく、汎用的なビジネススキルの強化が求められていた
・従業員の興味関心や学習行動を定量データで可視化し、根拠ある施策を打ちたいと考えていた

導入理由

・必要なコンテンツが過不足なく揃っていて、汎用スキルに即した体系的な整理がされている
・カスタマーサクセスによるサポート体制が充実しており、豊富な事例をもとに伴走してもらえる
・汎用スキルを学べるコンテンツが充実している

活用方法

・バックオフィスのスタッフ・製造現場のリーダー職等、全間接スタッフ約4000人にIDを発行
・従業員の学習データを取得、属性ごとに分析して受講促進施策に活用

導入後の効果・成果

・当初35%のログイン率が、開始3か月で60%にまで上昇
・動画コンテンツの活用により、これまで2日間かけていたオフライン研修が半日に短縮

部長層へのヒアリングを通じ、従来の研修における課題を整理

貴社の事業をとりまく環境と、人材育成における課題について教えてください。

關さん/当社では現在、情報通信ソリューション、エネルギーインフラ、自動車部品・電池、電装エレクトロニクス材料、機能製品の5つの事業領域に加え、当社のコア技術を活用した新たな分野での事業創出にも取り組んでいます。多岐にわたる分野で製品を展開していますが、すべて既存事業から派生して少しずつ広がってきたという経緯があります。例えば、当社のはじまりは銅山経営からスタートしており、銅を用いた電線の製造やそこから派生した絶縁体、さらには光ファイバーケーブルなど情報通信事業へ、という変遷をたどってきました。

このように既存ビジネスを発展させつつ、新たな付加価値を提供し続けるために、2030年に向けたありたい姿として「古河電工グループ ビジョン 2030」を策定しました。ビジョン達成に向けた2022-2025の中期経営計画においては「新規事業の創出に向けた基盤整備」と「既存事業の収益最大化」を重点目標として掲げています。そうしたなかで、当社における「リスキリング」とは何かを考えてきました。

また、エンゲージメントサーベイにおける、育成・タレントマネジメントに関するスコアが低いことにも課題を感じていました。事業ポートフォリオの入れ替えが進む中で業務経験を重ねつつ、階層別教育で人材育成を補完していく従来の手法では、機能しなくなってきたと考えていました。

人材・組織開発部 部長 關 俊也 さん

従業員の自律的成長を促すため、育成の方針をどのように変えたのでしょうか。

關さん/世間的にリスキリングというと「新しいものを取り入れる」「別の領域にシフトしていく」といった発想があるかと思います。当社の場合は新しいものに取り組む前に、まず既存の事業での成長を目指す観点から、既存業務に必要なスキルを向上させる「アップスキリング」を軸に人材教育を変革していこうと考えました。

山野さん/育成の仕組みをアップデートするにあたって、全体の6割にあたる約80人の部長にヒアリングを実施しました。その結果、階層別研修を中心とした従来の研修において、大きく3つの課題が浮き彫りになったのです。

まず1つ目として、人事主導の研修は「最小公約数的なコンテンツ」の教育が多く、従業員のニーズに応えられていなかったこと。

2つ目は、年に1回などの限られたタイミングでの実施であったこと。

そして3つ目は、対象者が限定的であったこと。上位職に昇格した人を中心に研修機会を提供しており、多くの従業員に対し公平に学びの機会があるとは言い難い状況でした。

こうした課題に対し、必要な時に必要な人が公平に学べる仕組みづくりをしたいと考えました。

關さん/全体的な教育体系の見直しを考えていましたが、ヒアリングの結果では、汎用スキルのニーズが高いことが分かりました。また、コンテンツの問題というより学ぶ機会の提供方法に問題があるとの認識に至りました。

研修体系をアップデートするにあたり、重視したことは何ですか?

山野さん/これまでの研修では、当たり障りのないコンテンツをインプットして終わりになっている感覚があり、研修の効果もしっかりと測れていませんでした。そこで、従業員が何を学びたいのか、また打った施策に対して従業員の行動がどう変容したのかをデータとして定量的に追っていくことを目指したのです。

人材・組織開発部 人材教育課 課長 山野 祐介 さん

学習データを分析し、施策に活かす

『GLOBIS 学び放題』の導入の決め手となったのはどのような点でしょうか。

山野さん/必要な時に必要な人が学べる、そして幅広い定量データを集めることができるプラットフォームとして、e-learningが最適であると考えました。いくつかのベンダーにお声がけし、詳細のヒアリングと試験導入をさせていただきました。

その中で、なぜ『GLOBIS 学び放題』に決めたのかというと、理由は3つです。

まず1つ目は、カスタマーサクセスによるサポート体制の充実。グロービスは支援実績が多く、具体的なアドバイスが得やすいことが決め手の一つでした。

2つ目は、当社の課題感との相性が良かったこと。サービス提供会社ごとに得意領域がありますが、汎用スキルを強化したいという当社のニーズが『GLOBIS 学び放題』の得意領域とマッチしていると感じました。

3つ目は、適切なコンテンツの量と、体系立った整理がなされていること。さまざまな作成者が提供する学習プラットフォームには、受講した講座がどのスキルに繋がっているのかを整理しにくいものもあります。一方『GLOBIS 学び放題』はスキル体系に沿った整理がされており、利用状況を測定しながら効果的なアプローチをするためにも有効であると感じました。また余計なものを省き、必要な内容に絞り込んで設計されたコンテンツも魅力的でした。

越田さん/ユーザー視点から見ても、コンテンツの規模感がちょうど良いというのは大事です。当社は上司と部下の対話を重視する社風なので、コンテンツが整理されていれば、上司は部下に受けて欲しいコンテンツをすすめやすいと考えています。コンテンツ数が多く、類似のコンテンツが乱立している場合には同じ仕事や興味関心を持っていても共通の話題にはなりづらいと考えています。

人材・組織開発部 組織開発課 主査 越田 智彦 さん

具体的にはどのように活用されていますか?

關さん/古河電工単体に所属する全間接スタッフ・製造現場のリーダー職等、合わせて4000人にアカウントを付与しました。今年(2024年)の4月に導入し、最初は繁忙期ということもあり積極的な受講促進のメール配信等が実施できなかったのですが、それでも開講直後には35%の従業員がログインし視聴してくれました。今までの自己啓発セミナーと比較すると、大きな数字です。こうした学びを求めている従業員がこれほど多くいると分かったのは大きな気づきでした。次のステップは、残りの65%の人にどのようにアプローチをするかということで、さまざまな施策を行いました。その結果、利用率は3か月で約60%にまで伸びました。

活性化施策としてはどのようなことをされましたか?

山野さん/1つは、地道ですが週次でメールを送ることです。「ログインしていない層」「ログインしているけれども受講が習慣化してない層」「常に学び続けている層」という3つのカテゴリーに分け、それぞれアプローチを変えて送りました。

例えば、ログインをしていない人におすすめ講座などの情報を送ってもハードルが高いため、まずはログインの仕方を教えるところから始めました。ログインはしたけれども、そのままになってしまっている人には、簡単に学習できる講座の紹介。すでに積極的に活用している人には、新規のおすすめ講座や人気ランキングの紹介、といった形です。

また、例えば月ごとに役職や年齢で区切ったターゲットゾーンを設定して、その月はずっと同じ対象層に重点的にアプローチする取り組みも実施しました。『GLOBIS 学び放題』にはメールのテンプレートが揃っていて、システム上で送れる仕組みなので、とても使いやすいですね。

越田さん/全体に向けた施策としては、本社フロアのサイネージで告知を流したり、ポータルサイト上に人気ランキングを掲示したりといったPR施策に加え、部門別の活用状況の公開も行いました。

山野さん/年間の計画表を作成して管理し、イベントと組み合わせて発信していくことも行いました。例えば、目標管理の時期に、効果的な面談の仕方を学べる『GLOBIS 学び放題』の動画を紹介するなどです。こちらはグロービスのカスタマーサクセスチームからの提案が非常に参考になりました。

『GLOBIS 学び放題』による従業員の学習データと人事データを掛け合わせて分析を行い、学習習慣を根付かせているとのことですが、詳しく教えてください。

越田さん/年代や職級といった属性ごとのログインデータや過去4週間のアクティブユーザー数を週単位で出し、分析結果をもとに次の打ち手を検討しています。

山野さん/取得したデータをもとに、週次で振り返りを行っています。月単位だと、打った施策に対する効果が捉えづらいためです。例えば、周知のメールを送信するタイミングは始業前・昼休み・終業前では、どのタイミングが一番受講促進に効くのかなどです。従業員の行動を分析することで、アプローチの戦略を立てることができます。

越田さん/メールを打つとしても、誰に何を打つべきなのかが定まらないと、やみくもにメールを配信することになります。従業員にとっては受け取るメールの数が多くなってしまい、迷惑メールリストに入れられてしまう可能性が高まります。そのため意図を明確にし、的を絞ってアプローチすることが大事だと感じています。

『GLOBIS 学び放題』導入以来、従業員からはどのような声が上がっていますか。

山野さん/成果や組織風土の変化は道半ばですが、従業員からの反響はあります。「このコンテンツがよかった」と個別にメールをもらうこともあり、学びたいときに学べる環境の整備が求められていたのだと感じられて嬉しく思います。

また、オフラインで実施される研修の事前課題として『GLOBIS 学び放題』の動画を視聴し、考えをまとめることを求めたところ、受講者からとても好評でした。これまで研修内で実施していた知識を「得る」部分を事前の動画視聴に切り出すことができ、これまで丸2日かけていた研修を半日に短縮することができたのです。参加者の負担を軽減することができました。

学びのプラットフォームのその先へ

今後、『GLOBIS 学び放題』に対して期待している点があれば教えてください。

山野さん/引き続き、グロービスのカスタマーサクセスチームの皆さんに伴走していただいて、他社事例も伺いながらノウハウを吸収したいというのが1つです。今後への期待としては、より細かい分析ができるように、データを抽出できる仕組みを作っていただけると嬉しいです。やはり従業員一人ひとりが忙しい中で、どのように学びのきっかけを作るか、学びの時間を確保するかが大事なので、個人の学習傾向を把握し、具体的に働きかけをするためのデータ分析ができるととてもありがたいですね。

今後貴社において人材育成を進められる中で、どのような姿を目指していきたいですか。

山野さん/ようやく学びが広がってきたところですが、まだ受講が習慣化されていない層やログインをしていない層にも利用を拡大していきたいと考えています。例えば職種ごとに求められているスキルや人気コンテンツを整理して開示し、キャリア面談などに活かしてもらうなど、まずはデータの開示に取り組みたいと考えています。受講状況の開示によって従業員の意識変革を図り、更なる受講層の拡大につなげていけるからです。

ただし中長期的に考えると、『GLOBIS 学び放題』はあくまでツールであり、きっかけです。継続的な学び、そしてその先の実践や業績への貢献に向けて必要なのは、従業員にとっての「Needs(求められるスキルや場)」「Can(発揮できるスキル)」「Will(やりがい)」を明確化していく必要があると考えています。

關さん/学びのプラットフォームを整えた後に、身につけたスキルをどのように使い、どのように成果に結びつけていくかにおいては、組織開発など人材育成とは別のアプローチも必要だと感じています。『GLOBIS 学び放題』によって自律的に学ぶ文化が醸成されつつあるので、今後の課題として取り組んでいきたいと考えています。

古河電気工業株式会社
  • 事業内容:古河電工は、「メタル」「ポリマー」「フォトニクス」「高周波」の4つのコア技術を強みに、情報通信やエネルギーなどのインフラ分野、自動車部品分野、エレクトロニクス分野へ、多岐にわたる技術・製品・サービスを提供しています。
  • 社員数:52,757名(連結) 4,335名(単体) ※2024年3月末時点
  • グロービス学び放題の利用目的:全社導入
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