グロービス学び放題

【ピョートル×グロービス井上】

自己実現したい人のための
学び動画5選

「自分は何のために働いているのか。この会社にずっといていいのか。そもそも自分らしい働き方って何だろう……」

あなたは、この問いに答えられるだろうか。

少し先の未来を見通すことも難しい時代。忙しい日々を送る中で、自分自身と向き合う時間をじっくりとれないというビジネスパーソンも多いかもしれない。

しかし、今だからこそ「自分らしく楽しく働くことは何より重要である」と、ピョートル・フェリクス・グジバチ氏は語る。 Googleで長年人材育成に従事し、現在は経営者でもある彼は「PLAYWORK」というワークメソッドを提唱している。

また、グロービス・デジタル・プラットフォームの責任者・井上陽介氏は、組織の中でも個人の自己実現は可能だと話す。

家庭、会社、そして社会の中で「自分らしく働く」とはどういう状態なのか。そこに至るまでにどのような思考や学びが必要なのか。二人の対談からひもといていく。

ピョートル・フェリクス・グジバチ、井上陽介

不確実な時代だからこそ必要な
問い
「自分とは何者なのか」

井上 コロナによって働き方や社会の在り方が根底から覆えされた中で、「本当にこの会社にいていいのか」「先の人生をどうやって生きていくのか」と、冷静に考えているビジネスパーソンが増えていると思います。

現実と自分の気持ちの間で、漠然と悩んでいる方も多いですよね。

ピョートル そうですね。「イケてるビジネスパーソンにならなきゃいけない」「役職について妻と子どもを幸せにしなくちゃいけない」とか、社会的な制約で縛られている人が多い気がします。

でも、それは誰が決めたことなのか、本当にそうじゃなければいけないのかと考えてみてほしい。実は、自分自身に無意識に縛られているのかもしれません。

社会の大きな変革は、自分らしさを再設定するチャンス。まずは自分自身を俯瞰して見つめ、自己認識を深める必要があると思います。

 ピョートル・フェリクス・グジバチ

井上 ピョートルさんは「PLAYWORK」のメソッドを提唱されていますが、第一のステップは自己認識だとおっしゃっていますよね。

ピョートルはい。「PLAYWORK」というのは、文字通り「遊ぶように働く」ということ。仕事と遊びの境界線があいまいで、熱中している、情熱を注いでいる働き方。これにより、自由な発想や創造性を発揮でき、仕事で価値を生み出せる状態です。

人生100年時代と言われる中で、働くことと生きることは同じと言っても過言ではありません。自分自身の人生をどう生きるのか、そのためにどう働くのか。まずは自己認識をして、自分は「何者か」を知ることが大切だと思います。

PLAYWORKの4つのステップ

意図を持って働く
「インテンショナルワーカー」

強さとは

井上 自分自身を俯瞰して見るというのは、とても大事ですよね。

井上陽介

グロービス学び放題でも自己認識を深めるためのコンテンツはいろいろありますが、例えば『キャリア・アンカー』は、自分の志向を8つのカテゴリーに分類するもの。気づいていなかった志向が見えてくることもあり、自分自身を多面的に見るためのきっかけになると思います。

自分のキャリア、強みや弱み、その中で足りない部分はどこなのか。これを知ることで、学ばなければならない理由や領域が理解できる。自己認識し、意図を持って行動につなげることが重要ですね。

   
8つのキャリア・アンカー
※「キャリア・アンカー」とは、アメリカの組織心理学者エドガー・H・シャイン博士によって提唱されたキャリア理論の概念

ピョートル 私もまさに「インテンショナルワーカー(意図を持って働く人)」という言葉を、最近の著書『パラダイムシフト』の中で書いたんです。意図を持つというのは、つまりフォーカスしていること。

例えば自分の幸せの基準にフォーカスし、それに沿ったパフォーマンスやアウトプットができる。そして、満足できるインプットをもらえる。給与も、インプットのひとつですね。

もちろん人間にはネガティブな部分もあって、「頑張っても意味がない」「どこまで今の状態が続くんだろう」などと考えることもあります。でもそれは自己防衛の感情なので、あって当然なんですよね。

ですから、ネガティブな感情を否定して引きこもるのではなく、どんどん人と会話をしてほしいと思います。

自分は何が嫌で、どうして怒っていて、なぜワクワクしないのか。人と意見が対立してもいいんですよ。対立は自分の価値観を建設的に共有する機会なので、自己を再設定できるチャンスです。

たくさん会話をして、ひたすら自分を振り返るべきだと思います。

おすすめ動画1 キャリア・アンカー

心理的安全性の高い組織ならば、
社員が
自己実現に向き合える

井上 日本企業のピラミッド型の組織構造では、どうしても個人の「自己実現」というのは難しい風潮がありましたね。インテンショナルワーカーを増やしていくためには、企業側も個人への向き合い方を変えていかなければいけない。

ピョートル・フェリクス・グジバチ、井上陽介

ピョートル 僕は自己認識の後のステップとして、自己開示、自己表現が必要だと思っているんです。自分の強みも弱みも全部さらけ出して、知ってもらう。相手からフィードバックをもらう中から、新しい気づきを得る。

社員が会社で自分らしくいられる、つまり心理的安全性が担保された状態じゃないと、自己開示、自己表現していくことは難しいですね。

井上 そうですね。グロービスで心理的安全性について調査したチームがあるんですが、この調査によると「心理的安全性とは、メンバーがリスクをとることを安全だと感じ、お互い弱い部分もさらけ出すことができる状態」です。

心理的安全性とは

“メンバーがリスクをとることを安全だと感じる”という視点が、とても大切なんですよね。失敗したらすぐに怒られるような環境では、当然リスクはとれないし、自己表現としての新しいチャレンジはできません。

まずはカルチャーを変えていかなくちゃいけないんです。

ピョートル・フェリクス・グジバチ

ピョートル ただ、社内で「自分らしく、そのままの自分でいる」といっても、どこの自分を見せるかというのは意図を持って考えなくてはいけないですね。

心理的安全性というのは、社員がまったく努力しなくていいということではありません。意図を持って自分自身を改善していく、努力をしていかなくてはいけない。

この会社で自分が何を提供でき、どんな自分らしさを見せるのか。会社と個人、お互いが関係を整えていく必要があると思います。

井上 たしかにそうですね。先ほど、ピョートルさんは人と意見が対立してもいいという話をされていました。

やっぱり一人ひとり考えが違うし、持っている情報も違う。上司とメンバーでは持っている視点も違う。だからディスカッションが重要だし、1on1やミーティングで対話することが重要だと思います。

マネージャーの方は非常に難易度の高いことをしなくてはいけないし、これまで以上にコミュニケーションスキルが求められている。環境変化が激しければ激しいほど、率直にディスカッションできる関係を整えなくてはいけないですね。

井上陽介

ピョートル 最近、マイクロマネジメントは良くないという話をよく耳にしますが、僕はそれ自体が悪いわけではないと思っています。

問題なのは、マネージャーが「マネジメントとは何か」「リーダーとは何か」という哲学を持たずにマネジメントしていることなんです。

例えば、マネジメントとは、組織の中の“何を”管理するものなのか。人を管理するというのは最悪ですね。アイデンティティを管理されると、人は必ず反発します。マネジメントの本質は、目標までのプロセスを管理することですよね。

井上 グロービス学び放題を受講する方の中にも、「急にマネジメントを任されて、何をどうすればよいのかわからない、特にメンバーとのコミュニケーションに悩んでいて学び始めた」という方がけっこういらっしゃいます。

やはり、本質をしっかり学んでおくというのは重要なんだと思います。

おすすめ動画2 1on1

変化への意識を持ち続け、
組織の中で
“創造力”を働かせる

ピョートル そもそも僕は、組織というのは“変化そのもの”だと捉えているんです。ですから、変わらない組織があるとすれば、原因はやっぱり「人」。常に変化が進んでいることを意識していなければいけないですね。

僕は、良い意味で落ち着かない、クリエイティブカオスの状態がいいと思っています。まったく波風のないところにあえて混乱を起こすと、そこから抜け出すためにいろいろと考え、創造性が高まるからです。

ピョートル・フェリクス・グジバチ

例えば議論が停滞している会議中に水をこぼすとか、そんな小さなことからでいいんですよ。変化への意識を持ち続けないと、数年経って仕事自体がなくなってしまうなんてことになりかねません。

井上 トヨタ自動車の豊田章男さんは「我々は車会社を超え、モビリティカンパニーに変革する」とおっしゃいましたね。30万人を超える社員がいる会社でも、事業の根幹から変革していくんだと。

このままでは勝ち残っていけないという強い危機感と、事業変革とデジタルトランスフォーメーションに向かっていく強い意志を感じる言葉でした。

あらゆる領域で変化が必要です。個人もまた、同じことを継続しているだけでは未来がないという危機感を持たなくてはなりません。会社が目指す方向性と「自分がどうありたいか」ということをリンクさせるために、想像力を働かせなくちゃいけない。

変化を自分の中に受け入れる姿勢を持って、スキルチェンジし続けることが必要ですね。

井上陽介

日々仕事をしていると、こういうことをしっかりと考え抜くのはなかなか難しいかもしれません。

でも、変化の荒波に揉まれている側にいるのか、自分でちゃんと波を乗りこなす側にいるのか。選ぶのはやはり自分なので、当事者意識を持って考えるべきだと思います。

おすすめ動画3 コッターの変革プロセス おすすめ動画4 自覚力のリーダーシップ

「学びほぐし」で自分自身の中に
ある壁を
超えていく

ピョートル 「学びほぐし」と言っています。固定観念や成功体験に縛られていると、新しい挑戦ができなくなってしまいますよね。

ですから、学びほぐしで自分の中にある壁に気づき、超えていくことが重要だと思うんです。

例えば「この会社に向いていないから、転職しよう」と思ったとき、「でも2年目で転職するのは早いかな」と迷ったとします。じゃあ、「2年目だから早い」というのは誰か決めたのかというと、結局自分なんですよね。

自分が動いているメンタルモデルというのは、社会のルールや、習慣、文化によって構築されているわけですが、変えられないというのは自分の思い込みに過ぎません。社会パターンをどのように自分の中で把握し、ほぐすか。これによって行動は変えられるんです。

ピョートル・フェリクス・グジバチ

井上 たしかに、これまでの経験から「うちの組織は変わらない」とか、「どうせやりたいことができない」という固定観念を一旦手放すと、いろいろな可能性が見えてきますね。

グロービス学び放題のユーザーさんの中には、まさに自分の行動を変えて自己実現に近づいた方がいました。その方は、普段法務の仕事をしているんですが、事業開発をやってみたいと考え、グロービス学び放題で勉強を始めたそうなんです。

そしてその動きに対し、「最初は上司が怪しんでいた」とおっしゃっていたんです(笑)。でも、上司ときちんと話をしてみると、新規事業を作る上で法務の知識がとても重要であることがわかり、法務の中で新規事業寄りの仕事を一緒に作ろうという話になったそうです。

その方が行動していなければ、もちろんこの結果はありません。個人の自己実現にもなり、会社の成長や変革にもつながる。すごくいい事例だなと思いました。

井上陽介

ピョートル 素晴らしいですね。僕はよく「相手のいる場所に行きましょう」と言っているんです。

例えば「上司が動いてくれない」という人がいますが、動いてほしいと思っているのはあなたですよね。だから「来い」というんじゃなくて、「あなたがいるところに行きますよ」という姿勢が必要だと思います。

自分がまず動くことで、制度の壁、組織の壁、自分自身の中にある壁──いろいろなものを超え、可能性が広がるということなんです。

おすすめ動画5 日本の組織と働き方のアップデート

井上 ピョートルさんの言葉でいうと、インテンショナルワーカー。学びでいうと、プロアクティブラーナー(主体的に学ぶ人)。これからの時代の重要なコンセプトですね。

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制作:NewsPicks Brand Design
取材・執筆:安住久美子 編集:奈良岡崇子 写真:矢野拓実 デザイン:堤香菜